のどの病気
急性扁桃炎
症状はのどの痛み、発熱、全身倦怠感、耳へ放散する痛みです。
扁桃腺が真っ赤に腫れる、次いで、白い斑点状の膿栓(のうせん)が付着し、さらに悪化すると、扁桃腺の表面全体に白い苔のような膿が付着します。全身の抵抗力が弱まった時、疲れた時などに、細菌やウイルスが扁桃に感染しやすくなります。
治療は、消炎剤、解熱剤、抗生剤の内服、患部への消毒薬の塗布などとともに、安静を保つようにして下さい。内服できない場合、水分補給ができず脱水のおそれがるとき、熱が下がらず全身状態の悪い時は、抗生剤の点滴をすることもあります。症状が悪化する場合には入院治療が必要になることもあります。
急性咽喉頭炎
咽頭や喉頭に細菌やウイルスが感染し、起こる病気です。症状はのどの痛みや発熱、咳、痰 声のかすれです。ウイルスが原因の場合は、基本的には対症療法です。喉が痛ければ痛み止め、炎症がひどければ抗炎症剤を内服します。細菌感染が疑われる場合は抗生剤で治療します。
のどの炎症で最も危険なのが、急性喉頭蓋炎という病気です。舌の奥の付け根に喉頭蓋というフタがあり、この下には声帯があり気管、肺へと続きます。喉頭蓋が炎症で腫れると空気の通るところが狭くなり、その下へ空気を送り込むことが難しくなります。急速に進行することも多く、治療が遅れると窒息する危険性があります。ひどい場合は緊急手術で気管を切開して、気道を確保します。激しいのどの痛み、くぐもった感じの声の変化が起こります。
声帯ポリープ
はじめに声の酷使や風邪などの炎症により声帯粘膜の充血がおこります。こういう状態で大声を出すなどの声帯の激しい機械的刺激が加わると声帯粘膜下の血管が破れて血腫(ちまめ)が声帯にでき、声帯粘膜が膨れてきます。これが何度も繰り返されるとポリープになると考えられています。この疾患は無理な発声方法で声を出したり、歌ったりすることによって発症します。症状は嗄声(声がかれる)が主症状です。診断には喉頭内視鏡検査が有用です。
治療はまずは声の衛生です。声の酷使が原因ですので、保存療法・手術療法のいずれを選択するにしても声の出し方が悪いと、治らないか再発しやすいと言えます。
発生したばかりでは、まず保存療法が行われます。沈黙により声帯を安静にして、無用の刺激を避けます。また、炎症が契機ですので、吸入や炎症を抑えるお薬を使います。なおらない場合は手術を選択することがあります。
声帯結節
声帯に生じる炎症性の腫瘤で、通常は両側に発生します。まれに片側だけに発生することもあります。発声時の声帯粘膜の慢性的な摩擦が原因と考えられており、声帯にできる一種の”タコ”と考えると理解しやすいと思います。したがって、音声を日常的に酷使している職業の方(歌手、教師、保育士)に好発します。子どもの場合は、よく声を使う活発な低学年の児童に見られます。ほとんどの場合、声がれが主な症状です。声を使う頻度により、症状の軽快、増悪がみられます。検査・診察は、間接喉頭鏡検査や喉頭内視鏡検査で声帯を観察します。
治療はまず、保存的治療を行います。消炎薬の投与や吸入を中心にした薬物治療や、誤った発声法を矯正し、正しい発声法を習得させるために音声治療が行われます。これらの保存的治療の効果がない時や、早期に治したい場合は、結節の切除手術を行います。
咽頭癌
咽頭とは鼻の奥から食道の入り口までを言います。がんが咽頭のどの部分にできるかによって症状が異なりますが、咽頭がんを疑う症状としては
- 片耳のつまった感じや、難聴が続いて治らない。(成人の場合、上咽頭がんが原因で中耳炎になる事があります)
- のどの一定の場所に異物感や違和感がある
- 飲み込む時にいつも同じところが痛かったり、しみたりする。(飲み込む時に耳の奥が痛いと感じることもあります)
- 食べ物が飲み込みにくい
- 片方の扁桃腺だけが大きくなってきた
- 声かすれが続いている
- 首にしこりがある
喫煙者やお酒を多く飲まれる方は下咽頭がんのリスクが高いため年に一度は耳鼻咽喉科でのチェックをお勧めします。
喉頭癌がん
喉頭がんとはのどぼとけのがんのことです。
喉頭がんを疑う症状は
- 1カ月以上声がかれていて治らない
- のどの一定の場所に異物感や違和感がある
- 食べ物を飲み込んだ時に痛みがでる
- 痰に血が混じる
- 息苦しい
- 首にしこりがある
喫煙者やお酒を多く飲まれる方は喉頭がんのリスクが高いため年に一度は耳鼻咽喉科でのチェックをお勧めします。
喉頭を詳しく診察するためには電子スコープを使用します。当院では最新のNBI内視鏡システムを使用しています。
早期がんの発見に期待されるNBI
NBIとはNarrow Band Imaging(狭帯域光観察)のことで、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい緑色の光と、粘膜表面で反射・散乱される青色の光を使用することで粘膜表面の血管や粘膜のピットパターン(腺管構造)等を効果的・安定的に画像強調処理をする技術です。このNBI光を病変に照射することにより、従来の内視鏡では見逃されやすい咽頭や喉頭の早期癌の発見が容易になりました